キャリア徒然日記

キャリアを中心とした人材マネジメントについて思いつくままに綴っています。

ザッカーバーグのスピーチからキャリアを考える

昨日の日曜日の午後、時間があったのでゆったりとした気持ちでネットを閲覧していたら、下記の記事がヒットし、興味深く閲覧しました。

 

www.huffingtonpost.jp

 

ザッカーバーグのことはFacebookの創設者で若くして成功したアメリカ人、くらいの貧弱な知識しかなかったのですが、スピーチ内容を拝見して認識を大きく改めました。

 

今日、僕は「目的」について話します。しかし「あなたの人生の目的を見つけなさい的なよくある卒業式スピーチ」をしたいわけではありません。僕らはミレニアル世代なんだから、そんなことは本能的にやっているはずです。だからそうじゃなくて、今日僕が話したいことは、「自分の人生の目標を見つけるだけでは不十分だ」という話をします。僕らの世代にとっての課題は、「"誰もが"目的感を人生の中で持てる世界を創り出すこと」なのです。 

(中略)

「目的」というのは、僕ら一人ひとりが、小さな自分以上の何かの一部だと感じられる感覚のことです。自分が必要とされ、そしてより良い未来のために日々頑張っていると感じられる感覚のことなのです。「目的」こそが本当の幸福感をつくるものなのです。

(中略)

この社会を前に進めること、それが僕ら世代の課題です。新しい仕事を作るだけじゃなくて、あたらしい「目的感」をも作り出さなくちゃいけない。

(中略)

ただ、自分の人生の目標をそこで見つけるだけでは十分ではありません。あなたは、誰か他の人にもその「人生の目標」が持てるようにしてあげなくてはいけない。

 

キャリア理論を勉強した時にも感じたのですが、アメリカの知識層は「新しい社会を生み出す」「世界を前進させる」「社会に役立つ人間になる」「自分も社会も大いなるものの一部として生きている」というようなメッセージを発しているように思います。

これは、アメリカが移民の国であり自分たちがこの国を作り上げてきたという自信と誇りから来るものかも知れませんし、プロテスタントをベースとした国家であることにも起因しているかも知れません。有史以来市民の革命を起こしたことがなく、確固たる宗教観を持っていない日本人には理解することが難しい感覚のような気がしますが、私はそれでも多くの日本人は直感的にザッカーバーグの言っていることは「素晴らしいこと」と感じるのではないかと考えています。

それは、ザッカーバーグの発している言葉は、プラトンの言う「真善美」に繋がっているからだと考えます。人間のさまざまな「真理」の根源は、世界が何であるか、という事実のうちにではなく、「真善美」という価値的なものの存在本質のうちにある、という考えですが、ザッカーバーグのスピーチには「真」と「善」を捉えていると私は思うのです。

 

彼は既に世界を変える力を持つ企業のトップであり、莫大な資産を持っているからこそその発言にもより力を感じられますが、スピーチによれば彼はFacebookが成功するかどうかも分からない段階で、人との繋がりに革命を起こそうとしていたことが分かります。しかし、だからと言ってザッカーバーグのように優れた才能や資産に恵まれない日本人の我々は、彼のように思考して実行することは不可能のように感じられます。

それでは、我々は彼のスピーチから何を学べば良いのでしょうか?

 

私は、キャリアの軸を作る上において、大きなヒントが得られると考えます。

仕事をする上での目的を自分軸から他者軸・社会軸に移していくことが、充実した人生を送るポイントではないかと思うのです。自分軸とは、お金、権力、地位など自分の欲望を満たすために仕事を捉える考え方です。現代社会に生きていく上ではお金が不可欠であり、お金を少しでも多く求めることを否定するつもりはありません。自分だってそうですし。でも、家族を持てば家族に良い暮らしをさせたいと思いますよね。これが少し他者軸(家族は身内ですが自分以外という意味では他者です)が入った状態です。それを仕事を通じて繋がっているお客さんだったりサービス提供先のことを思いやることが出来てくれば、だいぶ自分軸から他者軸に移行してきます。更には、会社を通じて社会をより良くすることに貢献しているとか、社会を前に進めているという誇りを感じられるようになれば、社会軸も獲得出来るわけです。

 

著名な経営学者のピーター・ドラッカーは、売上や利益をあげることが企業の第一の目的とするのではなく、「顧客を創造すること」だと言っています。つまり、顧客の集合体としての市場を創り出すことが企業の目的だと言うのです。市場を作り出すためには顧客の潜在ニーズを開拓して答えていくことが必要であり、市場を作り出せば自分たちだけではなく世の中にもその恩恵を被る人が多く創出できるということでしょう。

 

キャリアにおいても、「自分はどのような形で社会に貢献するのか」そしてそのために「どのような会社を利用させてもらうのか」、更にはその場所で「どのような形で能力を価値として発揮するのか」という連鎖で捉えていくことが可能なはずです。その答えは簡単には出ないと思いますが、いつもそのような視点で考え続けていれば、自分なりの方向性は見えてくるのではないかと思います。