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キャリア徒然日記

キャリアを中心とした人材マネジメントについて思いつくままに綴っています。

会社のエゴを越えたキャリア教育が出来るか?

タイトル「会社のエゴを越えたキャリア教育が出来るか?」は、クライアントの方との対話を通じて最近感じていることです。

 

まず、エゴとは何でしょうか?英語ではego と書きます。自己を対象とする認識作用、哲学および精神分析学における概念を指します。そして、「エゴイスト」「エゴイズム」という言葉に象徴されるように、自分の利益を重視し、他者の利益を軽視したり無視したりする利己主義者の省略形や利己主義的価値観の意味合いとして「エゴ」が用いられることが多いようです。

すなわち、本来的な意味は「エゴ」という言葉はフラットなのですが、どちらかと言えばネガティブな文脈で用いられているようです。そして、組織内では、社員に対してエゴ=利己主義というネガティブな方向性よりも、他者との協働や顧客への貢献である利他主義を志向させているのが普通ではないでしょうか。

一方、組織にも人格らしきものがあり、中小企業の場合、その人格は、社長の人格とほぼイコールになっています。何を言いたいかと言うと、特に中小企業においては、社長のエゴが組織のエゴになってしまっているということなのです。これは、多くの企業では無自覚になっている点です。なぜならは、その組織エゴは既に空気のような存在になっているからです。

そして、その社長さんがいつも頭を悩ませているうちの1つに、「人材の確保・育成・保持」が挙げられるのではないでしょうか。要するに、人材を外に出したくないんです。そうなると人材抱え込みの発想となり、会社を辞める可能性のある施策を導入するなど言語道断です。

 

本来的なキャリア支援とは、個人が自分らしく幸せな人生を歩むことを支援することに他なりません。焦点はあくまでも「個人」であり、その活躍の舞台には何の制限もありません。しかし、中小企業の社長さんの頭の中に「人材の抱え込み」という発想があれば、働く場として外部にも目が向いてしまう可能性のあるキャリア開発に関する施策はまずやらないと思います。もちろん、時間・費用的な面や大手と違って多様なキャリアパスを提示できない中でのキャリア開発の実施に踏み切れないことはあることは理解しています。しかし、本当に「個の尊重」を理念や会社方針に掲げるのであれば、このことはよく考えて欲しいのです。

 

また、既に何らかのキャリア開発を導入している企業でも、この「会社のエゴ問題」が存在しています。企業が実施する、すなわち企業主導のキャリア支援とは、あくまでも会社という舞台をベースに個人がどのように活躍するか、あるいはその舞台から降りてもらうか、ということがベースになっています(もし、「それは違う」という会社があるとすれば、それは偽善だと思います)。こちらも、「個の尊重」よりも「組織の論理」が優先されているというわけです。

 

日本の多くの会社では、企業理念に「個の尊重」を大切にされているのではないでしょうか。人材マネジメントに携わる身として、それは素晴らしいことだと本当に思います。だからこそ、キャリア開発の導入時には、「会社のエゴを越えて、個を尊重したキャリア教育が出来るか?」ということを徹底的に話し合い、会社としてどのようなスタンスで個人の人生に関わるかを決めなければなりません。