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キャリア徒然日記

キャリアを中心とした人材マネジメントについて思いつくままに綴っています。

好きなキャリア理論や思想がありますか?

僕はキャリアコンサルタント資格の取得を目指して勉強している一受験生に過ぎませんが、キャリア理論を学んでいて好きな理論や思想が出来ました。

 

理論では、なんといってもマーク・L・サビカス先生の「キャリア構成理論」です。

キャリア構成理論は、構成主義(ナラティブアプローチ)という新しい視点をキャリア理論に取り入れ、「人は職業行動と職業経験に意味を付与することにより、自らのキャリアを構成する」と考えます。そして、客観的なキャリア(年収、ポスト、経験した職歴等)よりも「意味のあるストーリー」を生み出す、1つのまとまりとしての主観的なキャリアを重視し、過去の記憶、現在の経験、そして将来の抱負に意味を与える主観的な構成体としてのキャリアに焦点を当てるという考え方です。

客観的ではなく主体的にキャリアを考えるという点では、ダグラス・T・ホールの「プロティアン・キャリア」という考え方と重複しています。プロティアン・キャリアとは、一言で言ってしまえばキャリアにおいて個人の心理的成功を目指す考え方です。すなわち主観的なキャリアです。

 

サビカスもホールも比較的新しいキャリア理論ですが、これは従来のキャリア理論のベースとなっていた社会の状況が通用しなくなってきており、価値や行動の基盤を個人に求めていかなければ理論が成立しなくなってきたことを意味すると考えています。

日本社会においても、20世紀と21世紀では社内のあり方が大きく変容しました。

・1つの会社でキャリアが完結⇒終身雇用の崩壊、非正規雇用の増加

・結婚して家を買って子供を設けて教育に力を入れる⇒多くの独身者、不安定な状況でのローンのリスク増大、子育ての難しさやリスク

・男が労働、女は家庭⇒共働き、育児や家事も協働

・仕事を引退してそのうち死ぬ⇒超長寿社会への突入による長生きリスク

・熟練した職人への尊敬⇒熟練の技も思考を伴うクリエイティブな仕事もAIに置き換えられる可能性

挙げればきりがありません。

 

しかし、このような新しい社会が登場しているにも関わらず、キャリアの観点から捉えた最も大きな課題は「個人の価値観の変化が、社会の変化に全く追いついていない」ことです。特に45歳以上の中高年層は致命的と思えるほどです。

終身雇用や年功序列的な価値観にどっぷりと浸り、今の会社で多少の不遇を受けようともなんとか逃げ切ろうと思っている人は、会社の下の世代に相当な悪影響を与えていることは少しでも自覚すべきだと思います。

 

話が少し脱線してきました。社会が変化すれば会社も変化します。終身雇用の崩壊や非正規雇用の増加は、厳しい経済環境の中で正社員全員を高い人件費で一生抱えることが出来なくなり、しかし抱えた人材は日本の厳しい解雇規制の中ではリリースできないので、簡単に首が切れる非正規雇用派遣社員を増やしただけのことです。

このような環境になっている以上、求められるのは個人の自立であり主体的な人生設計のはずです。しかし、多くのビジネスパーソンは相変わらず会社主体のキャリアライフを描いています。

個人の自立は抽象的な概念なので、具体的に定義するとすれば「個人の自立とは、自分の人生や時間を自分がコントロール出来ていると感じること」です。

そして、自分主体の人生を歩む上で、サビカスやホールの考え方はとても参考になると思います。

 

そしてキャリアの思想として好きなのは、L・サニー・ハンセンの「統合的ライフ・プランニング」の考え方です。彼女は、人生には4つの役割があり、それらが統合されるべきだとしています。4つの役割は、以下のとおりです。

1.労働(仕事)

2.愛(家庭と子育て)

3.学習(公式および非公式な教育)

4.余暇(仕事以外に従事する活動)

これらをキルトのように組み合わせることで意味のある全体になる、としています。

そして、「統合的ライフ・プランニング」には6つの重要な課題があるとしています。

1.グローバルな視点から仕事を探す

2.人生を意味のある全体の中に織り込む

3.家族と人生をつなぐ

4.多元性と包括性に価値を置く(文化的感受性を高める)

5.スピリチュアリティと人生の目的を探求する

6.個人の転機と組織の変化のマネジメント

 

それぞれを詳細に述べることはしませんが、特に自分がシビれたのは「5.スピリチュアリティと人生の目的を探求する」です。日本人の殆どが宗教と聞けば「胡散臭い」と脊髄反射的に感じてしまうので、宗教の中にある「宗教性」の重要性に気がついていないのです。自分は今ヨガや瞑想を学んでいますが、そこでは宗教性を以下のように定義しています。

・自分を超越する「大いなるものの存在」を感じる

・霊的に進化する

上記が宗教性の定義として包括的かどうかは置いておいて、いずれにしても普段から「スピリチュアリティ」を意識しているビジネスパーソンがどの程度いらっしゃるでしょうか?そして、キャリア研究者や実践家の中でもスピリチュアリティ」を考え、それを体験したり日常の中で習慣化している方はどの程度いらっしゃるでしょうか?

この学問を修める上での精神性の差が、如実に出ているのがハンセンの思想だと感じました。

 

ハンセン自体の精神性が高いこと、またハンセンの周囲の人たちの精神性もまた高いんだろうな?と感じます。一方で精神性の高さという面での日米格差は存在しているのか?、という素朴な疑問を感じます。

日本占領軍の司令官マッカーサーが日本を去る際に、「日本人の精神年齢は12歳だ」と言ったことは、現代にも通じるような気がしてなりません。